先生からのメッセージ
- 日本赤十字社岡山赤十字病院 膠原病リウマチ内科 部長
- 自己免疫疾患センター センター長 臨床研究センター センター長(兼任)

専門医とは別に築いておきたい「かかりつけ医」との信頼関係
関節リウマチは患者さんの免疫がご自身の関節を攻撃する疾患です。治療では免疫抑制作用のある薬を使用するため、感染症にかかりやすくなる可能性があります。感染症は関節リウマチとは異なり、手遅れになれば命にかかわる可能性も出てきます。当院では関節リウマチの専門医療を行っており、安定した患者さんは3ヵ月に1回程度の来院となりますが、その間、感染症を放置しないよう、当初から「かかりつけ医」を別に決め、風邪症状や軽い下痢など体調不良が認められた場合にはすみやかに受診していただけるような関係を築くようにしています。

筋肉は関節の鎧。定期的な運動で筋力を鍛えつつ肥満も予防
関節を支える筋肉は、関節を守る鎧の役目を果たしています。筋肉が落ちると関節に負担がかかってしまうので、普段から運動を習慣づけて筋肉を鍛えるようにしましょう。関節を動かすことをこわがる患者さんもいますが、動かさないと筋肉が落ちるだけではなく、関節の可動域も狭くなってしまいます。当院では関節リウマチと診断された患者さんには可能であれば最初に入院していただき精査の後に本格的な治療や生活指導を開始しますが、その際必ず「リウマチ体操」を指導メニューに入れています。これは関節に負荷がかからないようにしながら筋肉を鍛える体操です。体操を行う場合は、動かし過ぎて痛みや腫れが出ないよう、無理のない範囲で行うようにしてください。患者さんの状態によって体操の内容は変わるので、詳しくは主治医に相談し、作業療法士などに指導してもらうと良いでしょう。
関節リウマチと診断された方は、体重管理にも注意を払う必要があります。肥満になると足首やひざなどの関節に過度の体重がかかるため変形性関節症なども併発して関節症状が悪化し、歩行困難から運動不足、そしてさらに肥満になるという悪循環に陥る可能性があります。少なくとも就寝前の2時間は食事を控え、定期的な運動習慣を身につけていただければと思います。
辛さは患者さんにしかわからないことを忘れずに
医師になって以来続けているのは、外来患者さんを断らないことです。もちろん診療後に出張などがある場合は難しいですし、いつまで続けられるかもわかりませんが、これまで、当日「診察を待っています」と言われれば、可能な限り何時になっても診察を行ってきました。
また、患者さんの関節を診て「痛むだろう」と思っても、「本当の痛みや辛さはご本人にしかわかるものではない」といつも思い返すようにしています。関節リウマチという病気と付き合っていくことは、ご本人でないとわからない部分がきっとあるのだ、ということをいつも忘れず患者さんに寄り添っていきたいと考えています。患者さんのご家族や周りの方々にも、この感覚をできれば共有いただきたいと願っています。


小山 芳伸 先生
1989年産業医科大学医学部卒業後、同大学第一内科医員。1995年米国ハーバード大学医学部研究員。1996年産業医科大学大学院卒業。2001年横浜労災病院腫瘍内科医長。2002年松原メイフラワー病院リウマチ膠原病センター副院長、2006年株式会社麻生飯塚病院膠原病リウマチセンターセンター長。2011年より現職。
日本赤十字社岡山赤十字病院
病床数:500床
所在地:岡山県岡山市北区青江二丁目1番1号